11月 142016
 

前回の記事「AndroidのpersistentDataPathがカオス」の続きです。

UnityでAndroidManifest.xmlを利用する方法のメモです。

前回の記事からの続き

※この節は前回の記事からの誘導なので、UnityでのAndroidManifest.xml利用方法を知りたいだけの人は読み飛ばしてください。

「外部」のアプリ固有パスにしかアクセスしないならば、Android 4.4(KitKat)以降は権限が不要ですが、それより前のバージョンも対象にする場合には、互換性のために権限を持たせることになるという話でした。しかし、これは無駄なので、特定のバージョン以降でその権限を要求しないようにする設定項目が追加されました。

ただ、やはりというか、残念なことにUnity側でそれを指定する設定は存在しないんですね。なので、もう少しAndroid側に寄って、自分で直接設定を書くことにしましょう。そのための手段ならUnityも提供しています。

Androidアプリの設定は、AndroidManifest.xmlというファイルにまとめられます。Unityから直接Androidアプリをビルドするときも、プロジェクトのルート直下に一時的に作られるTemp/StagingAreaディレクトリに、自動生成されたAndroidManifest.xmlがあることが確認できます。これだけ見ると、Androidプロジェクトを吐き出させて、AndroidManifest.xmlを編集してから、自前でAndroidのビルドを行わなければいけないようにも思えますが、そこまで不便ではありません。

これから任意のAndroidManifest.xmlをUnityで利用するための方法を説明していきます。

やりたいこと

WRITE_EXTERNAL_STORAGE権限を、Android 4.3以前では要求し、4.4以降では要求しない、という設定を指定したいです。

uses-permissionタグが権限を与える設定ですが、これの属性としてandroid:maxSdkVersionを与えてやればいいです。指定する値は、その権限が有効な最大APIレベルです。

上記記事にも書いてある通り、uses-sdkタグにも同名の属性がありますが、まったく別物なので、調べ物するときには気をつけてください。

WRITE_EXTERNAL_STORAGEをAndroid 4.4(API Level 19)より前のバージョンでのみ要求したい場合、API Level 18を最大として設定すればいいので、下記の設定をAndroidManifest.xmlに書きたいわけです。

<uses-permission android:name="android.permission.WRITE_EXTERNAL_STORAGE" android:maxSdkVersion="18" />

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10月 112016
 
  • 2017/12/23
    • 記憶違いの部分があったのでAndroid 2.2の説明を修正。今更。
    • 変更が多くなったので若干記述を整理。
  • 2017/05/06
    • targetSdkVersionの決定方法が間違っていたので修正。
  • 2017/02/06
    • Unity 5.3.6での仕様変更について追記。
  • 2016/11/14
    • Android 4.4でのREAD_EXTERNAL_STORAGE対応、maxSdkVersionについて追記。
    • Android 6.0でのユーザによる権限の付け外しについて追記。
    • 掲載スクリプトの読み取り可能チェック処理でREAD_EXTERNAL_STORAGEを見ないように修正し、実行結果を更新。
    • 一部、誤植の修正。

Unityで外部ファイルにデータを読み書きするとき、普通Application.persistentDataPathを使うと思うのですが、AndroidだけpersistentDataPathの返すパスが権限によって変わります。

これドキュメントに書かなきゃいけない重要事項だと思うんですが、全く触れられていない・・・。

詳しいことはこれから説明していきますが、やりたいことによっては必要な追加権限があるにも関わらず、それを設定したときには、persistentDataPathはセーブデータの保存先として信用できないという衝撃的な問題が存在します。Unityのバージョンは5.3.4f1です。

但し、Unity 5.3.6でpersistentDataPathおよびtemporaryCachePathがAndroid 4.4(コードネーム:KitKat、API Level 19)以降、「外部」を指すよう仕様変更となったそうです(リリースノート)。また混乱することを・・・。いずれにせよ、AndroidでpersistentDataPathを利用することは推奨しません。

以下、死ぬほど長いまとめ書きましたので、覚悟してください。

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9月 042016
 

引き続きUnityの記事を書き溜めていたので放出。

Unityでシリアライズ可能なコレクションは、Listだけです。但し、当然ですが、型引数もシリアライズ可能型を指定してやる前提です。

C#のListはいわゆる配列リストってやつで、C++でいうvector、JavaでいうArrayListに相当します。C#にもArrayListは存在しますが、古い機能のため非ジェネリックです。

ともかく、Listは内部実装として配列を持つため、List<T>ならば、T型配列としてUnityがシリアライズしてくれるわけですね。Listだけシリアライズ可能なのはまあ納得です。

とはいえ、Listだけで事足りるかというと、LinkedList(連結リスト、線形リスト)やDictionary(ハッシュマップ)あたりは欲しい感じです。

ScriptableObjectやJsonUtilityでシリアライズ・デシリアライズするとき、ISerializationCallbackReceiverを実装していると、シリアライズ前、デシリアライズ後に決まったメソッドが呼ばれます。これを利用してコレクションをListに変換してシリアライズできます。公式ドキュメントでもこれを利用してDictionaryをシリアライズ・デシリアライズするサンプルが掲載されています。

※OnBeforeSerializeとOnAfterDeserializeを実装しますが、何故かOnBeforeSerializeに解説が集中しているのでそっちのリンクを掲載。

この場合、インスペクタを介したリアルタイムな編集はできませんが、永続化が目的ならばこれで十分でしょう。LinkedListやDictionaryをインスペクタで触れるようにするとむしろ怖い。

そんなこんなで、Unityで使用可能なC#のコレクションをISerializationCallbackReceiver実装クラスで一通りラップしてみたので、以下に公開します。

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9月 042016
 

(2017/10/14 EnumUtilの初期化を静的コンストラクタに変更。何故最初からそうしなかったのか)

なんだかんだUnityとの付き合いが多いので、メモがてらあんまりネット上で見なかったり見つけにくかったりする情報をまとめる感じで。

今回はenum型(列挙型、列挙体)のシリアライズについての話です。前回「C#のenumの使い方」の続きでもあります。本当は同じ日に仕上げるつもりでしたが、長くなったので分離しました。enumそのものの使い方は前回の記事にまとめておいたので、その知識は前提とします。

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8月 142016
 

仕事が忙しすぎて書きたかったネタが全然まとまらずに、技術関連の文章がまとまっていくアレ。

C#でのenumの使い方を簡単にまとめ。

私はWPFよりかは基本的にUnityでC#使ってます。Debug.Log()はUnityでのコンソール出力です。

public enum Type
{
    Invalid,
    A,
    B,
    C,
}

特に断りなければ、こんな定義のenum使ってると思ってください。

C#のenumは内部的には整数型です。値の割り当てを省略すれば、先頭では0が割り当てられ、以降は直前の定義に+1した値となります。C/C++でもおなじみのよくあるルールです。Javaはすっこんでいてください。

公式ドキュメントはこのあたり。言語機能そのものの説明はあまりしないので、詳しく知りたかったら自分で調べてねという感じで。

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12月 282015
 

困った。

Jetpackの機能でMarkdown記法を利用して記事を書いています。ちょっとしたコードを載せるのに外部サービスを利用したり、いちいち文字参照変換してから投稿するのはナンセンスなので、Markdownのfenced-blockでコードを記述したものをそのまま貼り付けて、シンタックスハイライトが効いてくれると嬉しいわけです。

ただ、コードのシンタックスハイライトはJetpackとは別で用意する必要がありました。これがなかなか上手くいく方法がないみたいです。試したこと書きます。

要求は下記の通り。

  • JetpackのMarkdownと組み合わせて使いたい。
  • できれば、コメント欄でショートコード使いたい。

基本的にはトラブルを極力避けるために、保守されている(更新放置されていない)プラグインのみ信用する方針でいますので、あんまりマイナーなものを使う気はありません。

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12月 282015
 

珍しくがっつりC++の話。

C++について勉強していて、未だにstatic_castとdynamic_castの挙動をよくわかってない感じだったので、実験して確認したことをまとめます。文章にするとめちゃ時間かかりますね・・・。

まず前提知識として、メモリレイアウトやらvtableやらRTTIやらの話をします。何故なら、おそらく多くの人がなんとなく以下の理解でいると思われ、その辺どうなっているかという話から始めないといけないためです。

  • dynamic_castは実行時に型チェックするから安全にダウンキャストできる。
  • static_castはコンパイル時に型チェックするが実行時に型チェックしないためダウンキャストが安全でない。

間違っちゃないんですが、もう少し突っ込んで理解して、正しい挙動を把握したいわけです。

とはいえ、私もオフィシャルなドキュメントを読んでいたりするわけではないので、ここに書くことも間違ってるかもという疑いを持って読んでください。間違ってたら指摘欲しいです。

特に断りがない限り、Visual Studio 2015でx86としてDebugビルドしてます。基本的にpublic継承の話しかしません。

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