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今更ではありますが、「開発中止に至ったロックマンDASH3がエクストルーパーズに作り直された」という噂話を否定します。途中まで書き上げた文章を1年以上放置してたのですが、それを仕上げました。

ただ、本当に偏見を持っている人を相手にするだけ無駄だとも思っていて、説得することが目的ではないです。タイミングも逃してますしね。なので、実際どうなんだろう?ということを資料として残すことが目的です。

ほんとは淡々と事実だけ列挙できればいいんですが、物事の捉え方にも言及しているため、クソ長くなりました。読む人は覚悟してね。

エクストルーパーズがDASH3であると言われる根拠

「エクストルーパーズはDASH3の作り直しだ」という人をびっくりするほどたくさん見てきて、ついでに何故かエクストルーパーズをdisる人も少なくなくうんざりしています。そういう人たちは何をもってそう言っているのでしょうか?何故、そう言われ始めたのかちゃんと調べたのでしょうか?軽く調べてみてください。大した情報が出てこないことがすぐにわかるはずです。

それでも、この噂を信じるということは、真偽を確かめようという意思がはじめからないのでしょう。事実に興味はなく、自分の直感に従っているのです。残念なことに、直感は人々が思っているほど正しくないです。だから、なんとなくそれっぽいと思ったことも、「そうかもしれない」と思うに留められれば賢いです。

直感に従っているということは、噂を鵜呑みにしたい何らかの背景があるということです(しかし、本人は無自覚)。どうして他作品に繋げたくなるのか私にはまったく理解できないのですが、DASH3の存在をどこかに求めている結果なのでしょうか。それは傍から見ればとても異様な光景で近寄りがたいものですが・・・。

ともかく、今回扱いたい話題は、そういう人たちの感情の理解ではないので、そこについては投げっぱなしにしておきます。ここでは、どこまでが事実であると確認できるのか、という話をします。ロジックならば説明できますからね。

事の発端を遡る

DASH3の開発中止があまりにも大事件すぎたためか、このネガティブ(?)な話題はすごく広まっていました。私がエクストルーパーズを知るきっかけにもなり、周囲のロックマンファンなら必ず耳にしているほどでした。噂には信憑性がないので、当時(2012年5~6月頃)、自分で調べてみたのですが、納得する情報は得られませんでした。それほど薄い根拠なのです。

なんでDASH3だと言われ始めたのかというと、エクストルーパーズの初期PVに出てくるキャラ(ゴータ)について、DASH3の「グリル」のモデリングデータを使い回しているんじゃないか、という話題がゲハ系まとめブログに取り上げられたことが発端のようです。最も影響力のあるまとめブログは記事を消しているため(ずるい・・・)、Webアーカイブの方を貼ります。私が説明した以上のことは書いてないので、特に引用しません。

そして、元のPVがこちら。ゴータは0:28ぐらいで出てきます。

エクストルーパーズは2012年5月17日に発表されました。同日、公式プレサイトが開設され、上のPVが公開されました。つまり、最初に公開した情報でいきなり流用騒ぎが始まってしまったのです。Webアーカイブから、2012年5月18日時点の公式サイトを見つけたので、こちらも貼りますね。

この時のジャンル名は「アクションシューティング」だったようです。最終的には「マンガチック爽快アクション」になります。FPSやTPSといったジャンルの先入観を避けるためにあえてシューティングという言葉を外しました。PVの他にはキャラクター紹介と主題歌に関する情報が掲載されている程度ですね。世界観・ストーリーの説明がありません。道理でどういうゲームか当時わからなかったわけだ・・・。

PVを見てもゲームの詳細は明らかではありません。1分過ぎたあたりからプレイ動画が含まれていますが、プロモーション用に体力ゲージやロックオン対象を示すマーカーなどのUIが非表示になっています。注意深く見ればロックオン式であることは推測できますが、この時点でそこまで読み取ってDASH3と関連づけたがる人はいなかったように思います。先にも言ったように、噂を信じる人は事実確認を怠っていると思われますし、このPVを見てない人は多いんじゃないですかね。

というわけで、大きく騒がれた発端は、モデリング流用疑惑であるといえます。ここから話が飛躍して、「DASH3が作り直しでエクストルーパーズになった」情報が歪められていったと認識しています。何故か**「ゲームエンジンが流用された」**という話にもなっていました。

これだけのために、今でも「DASH3だ」と言われてエクストルーパーズファンが嫌な思いをしているのかと思うと、ほんと腹立たしいです。これ以降、あちこちのエクストルーパーズに関する記事に「DASH3だ」というようなコメントがつくようになります。ネガキャンのための言葉として「DASH3」が遣われていることを非常に残念に思います。

ゲハとは何かということを説明しませんが、とても信用ならないものです。ゲハにDASH愛なんてなくて、DASH3が野次馬のネタにされただけです。だからこそ、ファンは鵜呑みにしちゃダメだし、ネタにした奴らに怒った方がいいと思います。DASH3の亡霊を追って、他の作品に絡んでいるファンは、自らDASH3の名に傷をつけているということに気付くべきです。そういうお行儀の悪いファンのことを私の周りでは「DASH3ゾンビ」と呼ぶようになりました。それだけ目に余るのです。

私がDASHファンによく考えてほしいのは、「DASH3に何を期待していたのか?エクストルーパーズのようなゲームを想像していたのか?」ということです。私は本質が違いすぎると思っています。ロックオン式であるという共通点を見つけても、それを根拠にDASHというのはあまりにも苦しい。何もロックオンシステムはDASHだけのものじゃないですし、DASHファンが「ロックオンシステムすげー!」なんて言って楽しんでるのを見たことないです。エクストルーパーズも同様です。ゆえにそこが本質ではありません。あとで説明しますが、**まったくコンセプトの異なるゲームなのです。**なので、エクストルーパーズはとても良いゲームだと思っていますが、DASH3を求める人には勧めません。それに、DASH3を遊びたいという欲はDASH3を遊ぶことでしか満たされないはずです。

ちなみに、開発中止前のDASH3公式サイトももちろんWebアーカイブにはあるのですが、Flash中心のサイトであったため、ほとんど再現できません。

個人的に2011年4月11日時点のキャッシュを持っていますが、これにはブライトバッツの各メンバー紹介やキャラクター相関図などが含まれていないんですよね・・・。

モデリングは流用されたのか?

DASH3の作り直しという話は一旦忘れて、事の発端となったモデリング流用に話を戻しましょう。

冷静に考えて、**流用が事実であるかどうかを否定する根拠もなければ、肯定する根拠だってありません。**そして、つまらないかもしれませんが、これが結論でもあります。**否定はできないけど、だから何?**と思います。

否定の証明とはとても難しいことなのです。ゆえに、「疑わしきは罰せず」という原則があるわけです。根拠不十分な噂を信じるのは勝手にすればいいんですけど、それをあたかも事実かつ悪いことのように広められると風評被害です。

そもそも流用ってそんなに悪いことなのでしょうか。悪いとまで言い切ってなくても、**「それよりDASH3作れ」**は常套句であり、エクストルーパーズという作品の存在を否定する根拠に使われているわけです。ファンのわがままなんて知りませんが、**素材の流用には正当性があります。**例があったほうがわかりやすいと思うので、後述するゲームエンジンの話題で説明します。

エクストルーパーズのプロデューサー・小嶋慎太郎さんは下の記事で流用を否定していますが、これは否定の主張であって証明はやはりできていません。なので、これも信じる信じないは個人の勝手と言えます。

■番外編
―――ここからは個人的にお訊きしたい話なのですが、『ガチャフォース』が好きなんですよ私。今でも根強い人気を誇っていて、『エクストルーパーズ』から似たようなオーラを感じています。制作している中で、他のゲームなど意識されたりしましたか?
小嶋:特に意識してませんが、爽快なアクションを目指した結果、似たように感じられたのかもしれませんね。『ロックマンDASH3』も意識はしてませんよ?(笑)

―――金髪モヒカン男を(キャラクターモデルを)流用しているのでは?とゲームユーザーの間で噂されていましたね
小嶋:たまたまデザインが似てただけです。流用してない事実をココでハッキリさせておきますね。

私は小嶋さんがこんなことわざわざ言わなくていいと思うんですけど、こうやって公式に話題にされるほど騒がれた一件であったことがわかるでしょう。それだけゲハブログの影響とは強いものであり、有害なのです。ゲーム業界としては無視できない存在なのです。

さて、金髪モヒカン男と言われてますが、これがグリルとゴータのことを指してます。体型と髪型が似ているために流用疑惑が浮上しましたが、性格付けなどは異なっていて別キャラではあります。グリルはゴーグルをかけているため、どんな目をしているかわかりません。一方、ゴータはゴーグルをしていません。

DASH3のグリル

DASH3は公式サイトが閉鎖されて多くの情報が失われたため、ロックマンファンですらグリルという名前を聞いても「誰だよ」ってなる人がほとんどだと思います。私も名前覚えてませんでした。なので、一応、資料として残す意味でも説明しておきます。

新主人公である**「バレット」(ロックとダブル主人公の予定だった)は新舞台「クリカラン島」にある「テオモの街」で弱小「ガーター族」である「ブライトバッツ」に属しています。ガーター族というのは暴走族のようなもので、「フライキャリアー」という空飛ぶバイクに乗るようです。ブライトバッツはリーゼント頭の「マックス」がリーダーを務め、バレットやヒロインの「エアロ」の他、チビのパーツ収集家「ピック」(「ヤンス」が口癖)、そして、デブのメカニック「グリル」**がメンバーです。ブライトバッツの各メンバーについて詳細な情報はありません。

エクストルーパーズのゴータ

一応、エクストルーパーズやってない人のために説明。

エクストルーパーズはロストプラネットの世界観を引き継いでおり、人類は深刻なエネルギー枯渇問題から脱却するため、「EDN-3rd」(イー・ディー・エヌ・サード)という星の現住生物**「AK」(エイクリッド)から取れる「T-ENG」(サーマルエナジー)に希望を見出します。そこで、長年にわたって「NEVEC」**(ネベック)という組織がEDN-3rdへの入植実験を繰り返しています。人類は遠い昔に地球を捨てており、EDN-2nd(イー・ディー・エヌ・セカンド)などに移住したようです。

エクストルーパーズは、NEVECの訓練施設である**「アカデミー」に所属する訓練隊員たちの物語です。アカデミーはEDN-3rdに3つのベースを持ち、訓練隊員はここで日々訓練をしています。そんなベースの1つ「フロンティアベース」に所属する訓練隊員が「ゴータ」です。不良系キャラであり、ホラ吹きでお調子者な性格ですが、情に厚いガキ大将です。仲間を助けるために自分を犠牲にできる人です。そんなゴータと主人公「ブレン」**は友情を深め、のちに訪れるフロンティアベースの危機に立ち向かっていきます。エクストルーパーズにおいて、「友情」は重要な要素のひとつですが、ゴータのエピソードは作中で最も友情にフォーカスされたものと言えるでしょう。

髪型は不良としての記号であり、グリルと共通します。しかし、ふくよかな体型は包容力のあるイメージということで決まっていて、デブキャラとしてデザインされたわけではありません。

ゲームエンジンは流用されたのか?

結論から言えば、**同じゲームエンジンを使っているようです。**しかし、**だから何なのでしょう。**ゲームエンジンという概念を理解している人ならば、わざわざこんなことで騒ぎ立てないと思います。つまり、ゲームエンジンの流用として騒ぐ人はとても無知な人であると思われます。

おそらく、ロックオン式TPSであるという共通点から見て、プログラムも流用されている!と言いたかったのでしょう。しかし、だから何なのでしょう。

ゲームエンジンとは何か

ゲームエンジンとは何か説明しますが、厳密なものではないです。というか、厳密な定義がないです。ゲーム開発の立場から見た説明です。

まず、もはやほとんどのゲームが大規模な開発であることは誰も疑いようのないことだと思います。大規模開発において重要なことは、効率よく開発することでコストを抑えることです。そして、プログラム側から見たとき、有効となる効率化手法のひとつがプログラムの使い回しです。

プログラムは部分的に見ると、よく出てくるような処理があります。例えば、乱数生成とかわかりやすいですかね。こういったものを毎回作り直すことがとても非効率であることは素人でも理解できると思います。何らかの事情で作り直さなければならない場合を除いては、作り直す(「車輪の再発明」といいます)べきではないと断言していいほどです。何故なら、作り直した結果としてバグを生むこともあるからです。バグ修正のためにも開発に時間が取られます。使いまわせる部品として独立させ保守した方が信頼できます。バグは人手によるミスですが、そのミスは人手でしか判断できないため、バグを減らすことはできてもなくすことは容易ではありません。完全にバグのないプログラムというのは保証できませんし、実現困難です。バグの箇所を特定するためにも、部品化して開発した方がいいのです。

そして、そういった使い回し可能な部品を**「ライブラリ」と呼び、これを組み合わせて開発します。しかし、組み合わせ方もやはり同じようなものがたくさんあります。意味的にもっと上位のレベルまでカバーして抽象的に扱えるようすると、これは「フレームワーク」**と呼ばれます。例えば、細かい描画機能をまとめあげ、その中にプラットフォーム依存のコードを隠してしまうことで、フレームワークを利用しているプログラムを書き換えることなくマルチプラットフォーム対応することができます。プログラムの意味を整理することで、ライブラリを抽象化するイメージですかね。

ここでやっと**「エンジン」の話が出てきます。エンジンはフレームワークよりもさらに抽象度が高いものです。フレームワークを利用した開発では、独自プログラムが制御の中心にあって、そこからフレームワークの機能を呼び出す形でした。エンジンではその立場が逆転し、エンジンそのものが制御まで責任を持ちます。使ってほしい素材などをエンジンに渡して、エンジンに利用してもらうような形で開発します。例えば、物理エンジンならば、物体(剛体など)を与えて、物理世界のシミュレーションを勝手にやってもらいます。「ゲームエンジン」**はゲームのためのエンジンで、ゲームに必要な基本的な処理は勝手にやってくれます。メインループなどをプログラマが書く必要がないのです。大規模化・複雑化してきた開発において、ゲームプログラムの本質に集中して効率よく開発を進めるためにはゲームエンジンが重要なのです。最近では、Unityをはじめとしてフリーのゲームエンジンが充実してきたため、素人でも名前を聞く機会が増えたと思います。聞いたことはあっても、それが何なのか知らない人が多いんでしょうね。

ただし、フレームワークもゲームエンジンも色々と面倒を見てくれるのはいいのですが、その分、融通が利かないことになります。なるべく不自由のないシステムに設計したいところですが、どのような設計が良いか明確な答えがなく、とても難しい。ツールなので利用するには学習コストが発生しますが、その知識がツール依存になってしまって応用が効かないのも悩みどころ。実際に利用してみて初めてわかるような問題もあります。魔法ではないのです(「銀の弾などない」)。それ故に、たくさんの人に使ってもらってフィードバックをもらい、改良を重ねる必要があります。ゲームエンジンはゲームエンジンとして独立して保守された方が都合がいいということです。

ライブラリ、フレームワーク、エンジンの違いを説明しましたが、抽象度(責任をもつ範囲)の違いであるので、明確に区別できるとは限りません。それぞれ似たような性格を持っていたりします。実際、呼ばれ方はバラバラで、厳密な言葉として使われていないと思います。ここでは抽象度によって区別しましたが、それ自体に異を唱えたい人もいるかもしれません。でも、そんなのどうでもいいです。

MT Framework

カプコンは内製のゲームエンジンを持っています。**「MT Framework」(MTフレームワーク)といいます。フレームワークと名がついていますが、ゲームエンジンです。やはり曖昧な言葉です。PS2の時代までは、社内でこのような資産の共有は積極的ではなかったそうですが、PS3の時代からはこれを中心とした開発になります。携帯機向けバージョンの「MT Framework Mobile」**もあり、マルチプラットフォーム化を支援します。

DASH3はリリースされませんでしたが、MTフレームワークを採用していたことが公式ブログで明かされています。公式ブログが消滅したので、Webアーカイブのリンクを張り、引用します。

ところで『DASH3』は、カプコンが誇る「MTフレームワーク」を使って開発しています!
「MTフレームワーク」とは…
簡単に説明すると、「カプコン自社製のゲームエンジン」です。
もうちょっと簡単に言うと、カプコン製の“ゲーム作成高性能ツール”という感じです。
(正確には違いますが・・・)
ちょっと難しい話になるんですが、機会があったら、
今後プログラマーたちからそういう話もさせて頂きますね。

エクストルーパーズについては情報源が不明ですが、Wikipediaにまとまっていますね。面倒なので自分で確認してませんが、スタッフロールに書いてあったのかもしれません。一応、カプコンのIR資料もざっと見てみましたが、そこには掲載されてなさそうでした。重要なことではないので、深く調べないままにします。(2014/07/29追記 スタッフロールで確認されました。バージョンは示されていないので、Wikipediaでは推測で2.x系と書かれているのでしょう)

エクストルーパーズ (PS3版:MTFW 2.x / 3DS版:MTFW Moblie)

これを信用していいのか断言はできませんが、エクストルーパーズは3DSとPS3のマルチプラットフォームなタイトルでありますので、その基盤となる技術としてMTフレームワークが利用されていることはごく自然です。また、3DS版はK2(ケーツー)が、PS3版はヘキサドライブが開発しています(2014/08/01追記 正確にはK2は両バージョンともクレジットされています)。K2はカプコンの子会社であり、カプコンからの委託業務において、MTフレームワークで開発を行うことを強みとしているので、MTフレームワークの採用はほぼ確定でしょう。K2による3DS版開発をメインとして、PS3版の調整やオンライン対応をヘキサドライブが担当したのではないかと推測しています。

株式会社カプコンのゲーム開発エンジン「MT Framework」。
弊社では株式会社カプコンから委託された業務において
「MT Framework」を使ったゲーム開発を行っています。
これによりシステムの構築作業を大幅に短縮、
ゲームの「面白さ」を深く追求出来る開発体制が可能となりました。

というわけで、エクストルーパーズとDASH3は同じゲームエンジンを利用しているらしいことがわかりました。しかし、何度も言います。だから、何なのでしょう。ロスプラやバイオ5から流用したということもできますが、既に説明してきたように大規模開発において流用は正義なのです。無駄な努力を他人に求めないでください。無駄な努力こそ美徳だと思うならば、それは現実を直視することから逃げています。

余談ですが、現在、カプコンは新たなゲームエンジン**「Panta Rhei」(パンタ・レイ)を開発しています。これはPS4向けタイトル「deep down」**で採用されますが、並行して開発しています。えぇ、現在進行形です。ゲームエンジンが完成しないと、他のプロジェクトが進められないと思いますので、PS4ロンチに間に合わなかったことはかなり手痛いのではないかと思っています。

しかし、カプコンに限らず、国内のメーカーがPS4やXboxOneの技術レベルについていけていないのもまた現実。これは日本人が無能だからではありません。開発の規模は膨らみ続け、国内の市場では開発費を賄えなくなってきていたのですが、ついにその限界点に達したといったところです。そのような事情は下の記事が丁寧です(正確性を重んじた内容なので、国内外での市場の違いへの考察ではありません)。

このようにゲーム業界が苦しんでいる中で、流用は悪だと思っている人は現実を知らないのです。知らなければいけないとは言いませんが、それは要求すべきことではありません。

流用は悪か?

長くなりましたので、一旦、前半をまとめます。ここではまず、DASH3がエクストルーパーズになったと言われている根拠が何なのかという話をしました。

一部データ流用の可能性は否定しませんが、ゲームエンジンの例からもわかるように流用には正当な理由があるので、流用されていたとしても私はどうでもいいと思ってます。今まで作ってきた素材を全部捨てて一から作りなおさなければいけない正当な理由があるのなら教えて下さい。一度作ったものを使いまわしているからこそ大規模なゲームが開発できるのです。わかりやすいところですと、効果音や文字フォントの流用とかはよくあります。頑張ってコストを抑えようとしても、それでも回収が難しいのが現実なんです。

感情で何かを非難したいときに、流用かどうかを都合のいいネタとして使わないでほしいです。すごくみっともないです。

エクストルーパーズがDASH3ではない根拠

一部データの流用があるかどうかは知りませんが、少なくとも、**DASH3を作りなおしてエクストルーパーズにしたという主張の方は否定出来ます。**アリバイと同じです。時系列的に矛盾が生じるため、こちらに関しては否定の証明ができます。

上の記事の写真を見てわかるように、エクストルーパーズの承認会議は2011年5月28日に行われていることが明らかになっています(この資料は設定資料集にも掲載されていません)。この時に本製作が決まったのかは不明ですが、基礎となったのはこれでしょう。当初はキャラクターデザイナーが異なり、マンガチックという方向性もありませんでしたが、最初から「友情」をテーマとしていたようです。

一応、説明しておきますが、**ゲーム作りは本製作の前に試作開発があります。**各段階で企画書はあると思いますが、本製作に向けて試作と企画書をまとめて、**承認会議を通ることで初めて本製作に入ります。**ゲームは試しに作ってみないとわからない部分があるので、試作で手触りを確認してから、企画にゴーサインを出すか決めるわけですね。**承認会議を通らなければいずれボツ企画になります。**DASH3がそうでした。承認前から制作発表してしまったことそのものが既に事件だったと思います。普通は本制作承認前の作品の情報が表に出ることはなく、裏で開発中止に至るわけです。発売する約束ができないわけですからね。

さて、DASH3についてですが、ユーザー参加型企画としてDASH開発室が運営されていました。DASH開発室では、同年6月3日より「ブライトバッツマスコットキャラクター募集」が開始されています(6月24日が締切、7月5日に結果発表)ので、この時はまだ内部でも開発中止が決定していない段階であると言えます。開発中止が決まっているのに開発室を続行する道理はないです。余計なコストがかかる上に、それがすべて損失になるからです。

したがって、開発期間が被っていると言うことができ、DASH3を開発中止後にエクストルーパーズとして作り直したという主張は成立しません。エクストルーパーズのプロデューサー・小嶋慎太郎さんも同じ理由を述べています。素材流用についても不可能な時期だったようです。

それにしても、アイラちゃんファン根強いな!

ロックオンシステム採用の経緯を考える

そもそもの発端はモデリング流用疑惑ですが、結果として、ゲームシステムの基礎は似たものになりました(ロックオンなど)。私はエクストルーパーズのアクション性を説明するのに**「DASHとモンハンを合わせてゲームスピードを上げたもの」という表現を使っていました(そこが重要なゲームだとは思ってないですが)。「ロックマンXを3Dにするならこんな感じ」**という意見もあり、本質的にはこちらのほうが的確だと思っています。

エクストルーパーズのプロデューサー・小嶋慎太郎さんは長くモンハンに関わってきた人でもあり、実際、モンハンを参考にして作った部分があることを明言しています。しかし、モンハンの使いまわしとは言われてないですね。どうしてだと思います?それは、作品を見る時の態度の問題だと思っています。似てると決めつけて、しかもそれを悪いこととし、そのあとに似てる部分を探すという間違ったアプローチです。**似てるかどうかを判断するのは後の話でなければ言いがかりでしかなく、似ていることが悪かどうかはまた別の話。**何かに全く似ていない完全オリジナルの作品なんてありえません。他作品と似てる部分を探すということの不毛さは想像できないでしょうか。「ジャンプしてるからマリオだ」なんて言われても困りますよね。どこまでが許されるのかという線引きは非常に曖昧ですが、結局は作品として新しい価値を生み出すことができているかどうかが大事なのだと思います。この辺の話は長くなるので深く突っ込まないでおきます。

最もよくある判断の誤りとして、自分が信じたいことを根拠なく信じ、それを支持するために都合のいい情報を集めて、都合の悪いことには目を向けないというのがあります。これは詐欺のやり口と同じなので、騙されないためにも気をつけたいものです。

エクストルーパーズは武器強化とかも含めて全体的に珍しくないシステムですし、それについて似てる似てないの議論をするつもりはありません。先に言ったように不毛です。しかし、DASHと似ている部分があれば、それは今でも通用するような優秀なシステムをDASHが持っていたということもできるのではないでしょうか。物は言いよう。捉え方の問題です。

さて、前置きが長くなりましたが、この節で言いたいことは、エクストルーパーズとDASH3にはいくらか共通点がありますが、それは結果的にそうなったという話でしかなく、DASH3から持ってきたとは言えないということです。やはり否定の証明はできませんが、何故、そんなことを言うのかというと、素材は使い回しが容易ですが、企画の使い回しは困難だからです。それを説明するために、どういったアプローチでゲーム開発を行うか説明していきます。ここでは見た目でよく似ていると感じられているらしいロックオンシステムを例にして、その採用の意味はDASHとは異なるということを示します。

エクストルーパーズにおけるロックオンの意味

エクストルーパーズにロックオンシステムが採用されているのは、DASH3からプログラムを流用したからではなく、目指す方向性に従って検討した結果、採用されただけです。**ゲームはコンセプトから作ります。**システムから作ると方向性がぶれて破綻します。正解がないからです。こういうシステムがいいなとか、こういうシーンがいいなとか、そこから作り始めて失敗することに心当たりのある人もいるでしょう(RPGツクールとかでゲームが完成しないアレです)。最初に骨を作っておかないと肉がつかないのです。そのため、**作りたいものの本質は何かということをコンセプトとして定義します。**これはとても難しい作業ですから、後付となることもあるでしょう。実際に作ってみたら思ってたのと違うということも珍しくありません。それを踏まえた上で、同じ仕組みを違うコンセプトに使うというのは、さらにハードルの高いことであることが想像できないでしょうか。

それに、「システムを流用して他の作品に作り変えてください」と言われて、スタッフがやる気出るわけありませんよ。**開発はモチベーション管理も大事なのです。**チームの士気を上げるには、目的感の共有が大事となるため、それを明確化するためにもコンセプトが重要となります。

エクストルーパーズのコンセプトは、カジュアル層にも爽快なアクションを楽しんでもらうところにあります。エイム(手動照準)かロックオンかは試作して、実際に遊んで、議論され、最終的にロックオン(+強力な自動補正)が採用されました。目指すゲーム性やテンポ感を得るために自由度を犠牲にし、複雑で尖ったシステムは採用してません。**ジャンプすら排除されています。企画書の写真からもわかるように、最初はもっとロスプラに近い雰囲気だったようですが、「マンガチック爽快アクション」**というコンセプトが定まってからは本格的にロスプラから離れていったのです。繰り返しになりますが、コンセプトが重要なのです。稲船さんもよく言いますが、わざわざ言わなければいけないほどゲーム業界でも意識が低いのかもしれません。

DASH3におけるロックオンの意味

一方、DASHは3Dゲーム時代の初期の頃(1998年)の作品で、1作目はアナログスティック非対応なPSタイトルという事情もあり、3Dのアクションシューティングとして成立させるにはロックオンが必要だったと言えるでしょう。こちらは3Dとして表現の幅を広げるために採用されたことになります。コンセプトによる要求ではなく、それしか選択肢がなかったのです。

また、DASH1はロックオン中の移動もできませんでした。2になってフィールドが広くなり、ロックオンしたまま移動できるようになり、ローラーダッシュによる大ジャンプも実装され、よりダイナミックに動けるようになりました。一方で、街の建物に自由に登れる1の方が好きという声もありますね。

DASH3でも引き続きロックオンを採用していますが、今の時代は事情が異なるので、操作感は旧作とはかなり違うものになっていたでしょう。例えば、バレットの高速移動手段がローラーダッシュではなく、しっかり足を動かして走るアクションとなり、それによって壁を駆け上がることができるというものでした。フライキャリアーという乗り物もありましたし、3D空間を自由に駆け回る楽しさをより追求しようという意図が感じられて楽しみにしていました。カメラの扱いとかも気になるところでしたが、残念ながら体験する機会は与えられませんでした。

それぞれ別の良さがある

時代が違うということで、このように議論の進み方は真逆です。DASHは表現力向上のために**「足し算」でロックオンを採用しました。エクストルーパーズは手軽にできる爽快なアクションを目指した結果、「引き算」**でロックオンを採用しました。さらに、そのコンセプトのもと、カチ上げ射撃や必殺技・合体必殺技、カウンター技の採用に至っています。これはDASHだったら採用しないでしょう。また、エクストルーパーズではジャンプ操作が存在しませんが、DASHはジャンプが重要な要素なので絶対に排除されないはずです。

このように、たまたま近いジャンルだったというだけで、エクストルーパーズはDASHが目指していたものとはまるで違う作風に仕上がっています。どっちがいいというものでもなく、これもいいな、と思える別方向の作品なのです。

また、キャラデザインもコンセプトが必要で、「かっこいいキャラお願いします」と言われても、ふわふわしすぎてデザインのしようがないのが理解できないでしょうか。どんなキャラかというコンセプトを決めて、それをロジックに従ってデザインとしてまとめます。エクストルーパーズも実にロジカルにキャラデザが行われています。ゴータの体型は包容力のイメージだということを既に述べました。だから、見た目を使いまわして、全然違うキャラに仕立てあげるのもかなりの無茶だと言えるのです。

その作品の肝であるからこそ、ゲームデザインやキャラデザインの使い回しは困難であり、そこが作品の魅力になっていくわけです。

DASH3なら売れたのか?

ここは今回の話には関係しないので、蛇足です。

これまでDASH3とエクストルーパーズは違うということを主張してきましたが、それでも関連づけたがる人は多いので、もう少し引いた視点から見れば、**競合作品であると言うことができるのかもしれません。**エクストルーパーズはPS3版のほうが快適ですしオンライン対応がありますが、3DS版のほうが売れています。カジュアルな見た目(元はロスプラ寄りでしたが)からして、そちらの層のウケが良かったのでしょう。DASH3も3DSで発売する予定でした。

「DASH3の方が売れた」という人をよく見ます。後出しジャンケンでならどうとでも言えます。多分、根拠はなくて感覚で言ってるんだと思いますが、そんなにみんなは「自分の好きな作品は売れる」ということを信じているのでしょうか。それを裏付ける経験があるのでしょうか。しかし、残念なことに、そもそもDASHシリーズは赤字続きのシリーズであるからこそ、3作目を作れずにいたんですよ。DASHファンは声の大きいマイノリティなんです。だからこそ、バレットという新主人公の採用は新規層獲得も意図した戦略だと私は思っていました(別の意味としては、ロックを迎えに行くプレイヤーの分身など)。

とはいえ、私もエクストルーパーズよりは売れただろうなという気はしてます。エクストルーパーズはロスプラの世界観を引き継いでいるとはいえ、基本的に完全新規タイトルとして作られ、宣伝されており、公式サイトに「ロストプラネット」という記述はどこにもないほどの徹底ぶりでした。一方で、DASH3はシリーズファンがいますので、スタート地点が違います。だからといって、エクストルーパーズを出すなという話にはなりません。どっちも売れてくれればそれがいい。「俺の好きなシリーズだけ作ってろ」とユーザが望むから、ゲーム業界がシュリンクしている部分もあるんでしょうね・・・。

しかし、DASH3は出せば成功するとは思ってません。ここでは短期的に見て、それなりの利益をあげたら成功だとします。私が思うのは、DASH3にはコストに見合うだけの商品力がなかったのではないかということです。

DASH3に求められる内容はエクストルーパーズよりずっと規模の大きなものだと思います。規模(ボリューム)とはクリアに必要な時間(長さ)だけでなく、どれだけ遊べる要素を盛り込むかという幅の広さも含みます。DASHは幅の広い作品ですので、開発コストが高いのです。エクストルーパーズであれば、ミッション制であり、ボスの使い回しや組み合わせでボリュームを稼いでいます。普段はベースで生活していて、行動範囲はかなり限定的です。しかし、DASHならば、マップとボスをダンジョンごとに作り込む必要があり、それとは別に街も用意しなければいけません。この構造はRPGでよくあるものですが、3Dのアクションゲームに適用するのはかなりしんどいです。しんどいのにやったのが**「フリーランニングRPG」**であるDASHシリーズなのです。このことからもエクストルーパーズとのコンセプトの違いが窺えるでしょう。また、同じ構造を持つゼルダシリーズが化け物なのも理解できるでしょう。大神も凄い作り込みでしたが、商業的には上手くいきませんでした。

DASH3は試作段階で開発中止に至ったため、プラス1年あっても完成は遠いはずです。また、開発室の運営(ダレットビレッジとの連携)といった特殊なコストがあり、その分も回収しなければいけません。開発室の企画運営や、ブログに掲載する外部向け情報を整理するためにも開発は遅延するでしょう。そして、先に言いましたがDASHファンはマイノリティですから、新規層の獲得は必須条件です。コスト(開発費や広告費)を回収しないと赤字になりますから、想定しているコストとそれに対する売上額が重要です。売上本数が多ければいいんじゃなくて、利益が大きいほうがいいんです(ちなみにパブリッシャーは出荷した時点でお金をもらいますので、販売本数ではなく出荷本数が利益に直接関係します)。そういうことを考えると、なかなか採算が取れるか怪しそうな気がします。外野が売れる売れないということ自体が無駄なのですが、どれぐらい売れるかわからないのは作り手にとっても同じで、データや戦略を示して売れる見込みを承認会議でアピールする必要があります。DASH3はそこで失敗しています。

当時は3DS本体の販売台数がまだ伸び悩んでいたという背景もあり、低コスト開発でかつマルチプラットフォーム戦略で広く利益回収しようとしたエクストルーパーズのほうが上司を説得しやすかったかもしれません。開発の偉い立場にいる稲船さんというロックマンチームの強い味方がいなくなったということも影響が大きそうです。

とは言え、皆さんご存知の通り、3DSはこのあと爆発的に普及しますので、普及期におけるキラータイトルになりえたかもしれないことも考えると、DASH3は継続する価値があったんじゃないかと今なら思います。流石に、今では事情が変わってしまったので、同じ戦略は取れませんし、このまま開発再開しろというほど簡単な話でもないですが・・・。また、**今年発売するスマブラの新作にロックマンが出演します。**これをきっかけにロックマン作品を買いたいという人が出てくると思われますが、そこにDASH3という選択肢がないことも非常に残念でなりません。開発には時間がかかり、先が見えないというのに、市場に投入するタイミングは重要なんですよね。これもなかなか厳しい話です。

参考として、エクストルーパーズの結果も示します。ファミ通によると、パッケージ版については、3万3千本までの販売本数は確認できています。内訳は3DS版が22,159本、PS3版が11,359本。

決して多くはないです。作品の評価自体は高く、安価で手に入れられるからか、じわ売れはしてるみたいですが(PS3版オンラインで初心者をたまに見る)、それでも大きく伸びていないでしょう。マンガデモは当初は低コスト化のためにムービーを静止画にする意図でした(おそらくグラビティデイズのようなものを想定していたと思いますが、結局、動かすことになり個性となります)。プロモーションも限定的で大々的には行われていません。開発期間は承認会議の日付から推測するに、試作期間含めて1年半以上ありますが、2年かかってないでしょう。開発スタッフは最大で80人程度(その時によって変動します)。かなり予算がなかったことは外からも感じられますが、ダウンロード版やグッズの売上が別にあること、出荷本数は販売本数以上であることを考慮しても、なかなか厳しめの数字だと思います。どこが黒か赤かのラインは外からはわかりませんが、そこそこ開発費を回収したけど、儲けに繋がったとは言い難いという印象です。それでも、設定資料集を発売してくれたので、感謝しています。

参考資料

エクストルーパーズの詳細はいつ公開されたか

ロックオン式であることが判明したのがいつかということも一応、調べました。先にも書いたように、タイトルが発表されたのは2012年5月17日でありますが、ゲームの詳細は不明でした。

2012年6月30日、「カプコンサマージャム」というイベントが行われました。ここでエクストルーパーズのステージイベントが行われました。会場限定で実機によるデモプレイが初公開となりました。つまり、ここでロックオン式であることなど明らかになったわけです。

このとき公開された新PV(バージョン1.5)は同日中に公式サイトでも公開されましたが、こちらはやはりUIは非表示のものです。しかし、2012年7月13日にステージ映像が公開されました。デモプレイ映像がWeb上に公開されたのはこれが初です。

実は私もこのイベント見に行っていました。May’nさんの生歌も聴けた貴重なイベントで、最前列にいたファンのパフォーマンスが凄かったのを覚えています。公開映像ではカットされてますが。

私はこのイベントで、「エクストルーパーズはエクストルーパーズとして面白いんだ」ということを確信し、買うことを決めました。そして、「DASH3だ」という噂をはっきり否定しようと思いました。

エクストルーパーズ開発の経緯

こちらはエクストルーパーズ発売直後のロングインタビューです。開発の経緯などが語られています。ピーク時の開発スタッフが80人程度だったことの情報源はここです。ただ、

オロナミンCは大塚製薬さんが大事にされている主力商品なので,これまでゲームとコラボしたことはなかったんですね。

今回の話題とは関係ないですが、これは嘘です。PS1版・PC版のロックマンDASHでは自販機でオロナミンCを手に入れ、「元気ハツラツ!」というメッセージとともに体力を回復できます。小嶋さんはDASH1プレイ済みのはずですが、忘れていたか、64版あるいはPSP版を遊んだということなんですかね。

さらに古い話になりますが、カプコンがアーケードで出した「ブロックブロック」というゲームにもオロナミンCが登場したようです。だから、単にカプコンと大塚製薬が仲がいいんじゃないかと思ってたんですけども、違うみたいですね。

1991年、カプコンのアーケードゲームのブロックくずし「ブロックブロック」には、エリアクリア時にオロナミンCの広告が登場する。BGMはCMソングのアレンジである。

楽しむ努力をしよう

今回の話は、どうしてこんな悲しいことを書かねばならんのだという怒りの文章でもあります。カプコンへの怒りとはまた別です。そう思う背景には、作品の楽しみ方と他人との関わり方について私なりの考え方があります。それを簡単に説明しますが、興味なければ読み飛ばしてください。

DASH開発室やってたときから、みんながDASHを好きな具体的な理由を私はずっと知りたかったんです。個人的興味ではありません。それが言葉にまとまらないようでは、みんなでひとつのゲームを作るなんてできるわけがないと思ったからです。何故なら、価値観や目指す方向性を共有していないので、議論の落とし所が存在しないからです。つまり、他人と関わる中では、1つの正解を決めるのではなくて、自分の価値観だけに閉じないで、他人の価値観を受け入れる必要があるという当たり前のことで、そのために相手の価値観を探る必要があります。ちなみに、**「受け入れる」とは「存在を認めること」**であって「共感すること」ではありません。公式ブログでも、魅力は何か?ということを早々にブログで聞いています。必要な過程なのです。

DASHは色んな要素があるので、人それぞれ好きな理由があっていいんですが、それを整理したほうがいいと思ってました。これはとても高度なことであり、本来ユーザに求めることではありません。それまでユーザ参加型企画といえば、ボスコンテストみたいにプロが最終的に採用を決めて、リファインするものでした。しかし、開発企画はもっと踏み込んだものを想定していたため、それまで避けていた問題に直面せざるを得ないのです。

「他人の考えなんか知らない」という態度も個人の範囲に限定するなら勝手にすればとは思うのですが、他人と関わる場面ではそうはいきません。自分さえ良ければいいという態度を私はよく**「お行儀が悪い」**と表現します。今回の噂も、個人で信じるのは勝手だけど、それでネガキャン広められるのは不快ということです。本人の精神衛生的にもよくないと思ってます。

そうならないためにも、作品個別の良さを理解しようという姿勢は大事だと思っています。私はそれを**「楽しむ努力」**と呼びます。もちろん、考えるより先になんとなく面白かったと感じたその感覚は大事にすべきです。楽しく遊んでいたはずなのに、粗ばかり探して、作品を語る時に何が面白かったんだろう?ってなってしまうのは悲しいことだと思います。好きな理由を言語化しなくてもいいというのもひとつの考え方ですが、言語化することによって得られるものもあります。言語化する過程で考えが整理され、そこで新たな良さに気付くかもしれません。それはそれで楽しいことですし、作品がもっと好きになります。

悪いところを探すのは簡単で、褒め上手になるのは難しいです。しかし、難しいことから逃げ続けていても、あとでツケがきます。日本人は褒めることを怠りすぎていると思うんですよ。価値を実感できなければお金を払いたいとも思えないでしょう。そうすると、コンテンツが持続しなくなってしまいます。だから、売る側がアホみたいに価格下げて市場を崩壊させるのは自滅なのですが・・・。

「楽しむ努力」のコツは、面白くないことがあったらできるだけ回避することです。つまり、**「楽しむ努力」とは、「楽しみを最大化する試み」**です。それによって、自分の楽しみ方の軸や各作品の楽しみの本質を見つけましょう。

先日、PSP版DASH1・2のダウンロード版のセールが行われた際に、ここでも「それよりDASH3」という人をいくらか見かけました。このとき「DASH面白いからみんなやろうぜ!」と言えたほうが未来があるように感じられます。DASHの好きなところ(DASHらしさ、DASHに求めること)を文章化するのは私もなかなか難しいと思うのですが、DASH3が次に繋がるためにはそれを考えてみるのがひとまず建設的かなと思います。

最後に

要点をまとめると以下のようになります。

  • 作り直しプロジェクトであることを否定する根拠はあるが、流用は肯定も否定もできない
  • しかし、そもそも流用は咎められなければいけないことではない
  • DASHの何が好きだった?DASH3に何を期待していた?それがエクストルーパーズにあるのか?
  • エクストルーパーズはDASH3ではない、現実を見ろ

エクストルーパーズをDASH3だと言う人は、DASH3開発中止の悲しみをエクストルーパーズにぶつけてるだけだと思っています(ゲハ脳の人は知りません)。エクストルーパーズに何の思い入れもないからこそできる暴挙といいますか。私がDASHシリーズもエクストルーパーズも遊んだ上で、別物だと判断し、エクストルーパーズはそんな不当な評価をされるべきではない素晴らしい作品だと思っているから、今回の話はどうしても考えざるを得ませんでした。その考えがまとまってきたので、文章に起こし始めたのですが、あまりに長くなってダレたので1年以上放置してました。でも、資料価値はあると思ったので、頑張って仕上げました。

私はただ、ロックマンファンとしても、エクストルーパーズファンとしても悲しかったんですよ。正しいファンなんて議論は存在しないと思いますが、自分の好きな作品を持ち上げるために他の作品を攻撃したり、他のファンに迷惑をかけてしまうなら、それは良識ある行動とは言えないですよ。本当にみっともない。DASHファン怖いって思ってしまうほど酷い。

エクストルーパーズは私の周りのロックマンファンにも口コミでかなり広まりました。ほとんどみんな気に入ってくれているようです。多くのロックマンファンは趣味的に合うと思うので、「DASH3でしょ」と色眼鏡で見るのは非常にもったいない。大プッシュしてますが、当然「俺の趣味には合わなかった」という苦情は受け付けませんので、各自で判断してくださいね。

みんなネガティブな情報の収集に熱心になって、楽しみの本質を忘れてしまっていませんか?

昔のように、もっと無邪気に遊びたいものです。現代はノイズが多すぎます。