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12月5日、まもなく30周年を迎えるロックマンシリーズの今後の展開について重大な発表がありました。

  1. 新作「ロックマン11 運命の歯車!!」が2018年後半に発売予定
  2. ロックマンXシリーズ8作品の移植プロジェクトが開始
  3. 「ロックマン クラシックスコレクション」シリーズ2作品のSwitch移植決定

何と言っても目玉は待望の新作、ロックマン11です!発売決定おめでとうございます!ここ数年で一番嬉しいニュースだったよ!

これら3つのプロジェクトは、いずれもPC/PS4/XboxOne/Switchをサポートします。初代ロックマンシリーズとロックマンXシリーズをまとめて遊べる環境が揃うわけです。素晴らしいですね。

電撃発表

その日、まずはCapcomUnityという海外のカプコン公式サイトにて、ロックマン30周年記念の生放送があり、ここで情報が初公開されたのでした。

そして、日本でも朝を迎えた頃、改めて正式発表されました。

ウッチーさん本当に嬉しそう・・・。

ロックマンユニティにて、ロックマン11の主要スタッフが紹介されているので引用します。

プロデューサー:土屋 和弘
ディレクター:小田 晃嗣
プランナー:江口 正和
アートディレクション/
キャラクターデザイン:石原 雄二
キャラクターデザイン:日暮 竜二

土屋さんは近年「ロックマン クラシックスコレクション」のプロデュースでお馴染みですね。詳しい経歴は知らないですが、昔はロックマン7のプログラマなど担当していました。

小田さんはロックマンファンな私には馴染みがないですね。軽く調べてみた感じだと、バイオ0や魔界村の実績があるそうです。後述するファミ通でのメッセージによれば、ロックマン再始動のきっかけを作った人のようです。

江口さん、石原さんは元DASHチームで、そのままエグゼ、流星と長いことロックマンシリーズを支えてきたコアメンバーです。江口さんはエグゼシリーズのシナリオを担当し、「江口名人」としてイベントを盛り上げてくれたことが有名ですね。石原さんはDASHのリーバードやエグゼのネットナビなど個性的な人外デザインの実績が豊富です。

日暮さんは、ロックマンのオフィシャルアートを多数担当し、「ロックマンX コマンドミッション」「ガチャフォース」のキャラデザでも有名です。絶妙にかわいい絵柄に定評があります。また、高度な画風コピー能力を持ち、「Fate/unlimited codes」では、あまりに原作そのままの絵柄で原作ファンを驚かせたほどです。今では、ロックマンのオフィシャルアートといえば日暮さん、という存在だと思います。

とまあ、こんな感じでメンバー的にロックマンの魂が残っていることをアピールしていると思いますし、同時に「私達が責任を持って新作を作ります」と宣言しているのだと思いました。

これからのロックマンが本当に楽しみになりました。

30周年記念企画

ロックマンシリーズは今年12月17日に30周年を迎えます。これを記念して、いくらかのイベントが予定されています。

  1. 9月24日よりロックマン30周年お祝いコメント募集を開始
    • 期限は不明。
    • 寄せられたメッセージは、公式サイトやロックマンユニティで紹介される予定。
  2. 12月13日20時からニコニコ生放送で特番「ロックマン30周年記念生放送」を放送
  3. 12月16~17日「ジャンプフェスタ2018」内カプコンブースにて「ロックマン30周年記念スペシャルステージ」を実施
    • 12月16日は15:10~16:00
    • 12月17日は12:10~13:00
  4. 12月7日~12月25日「カプコンバー」にて「ロックマン30周年記念コラボメニュー」登場

待望の新作が発表された今、30周年を盛大に祝う準備が整ったわけですね。とても良い流れです。

長い冬の時代が終わる

**ここから先の話は過去を振り返ります。**蛇足だと思うなら読み飛ばしてください。

ロックマンは代表的なゲームキャラとして世界的に有名で、人気もあります。しかし、ここ数年は新作ゲームが出ることはなく、歴史が止まっている状態が続いていました。

これまでとても厳しい冬の時代にあり、そこから脱却する希望の光がロックマン11である、ということは認識しておきたいと思います。

受難

ロックマンのナンバリングタイトルとしては、2010年発売の「ロックマン10 宇宙からの脅威!!」が最後となります。派生作品を含めると国内では2012年リリースの「ロックマンXover」がありましたが、現在ではサービス終了しています。Xoverは正直、ファンに受け入れられていたとは言い難い内容でした。

2010年の時点では、「ロックマンDASH3 PROJECT」「メガマンユニバース」「ロックマンオンライン」が開発中でしたが、すべて開発中止に至りました。

特にDASH3開発中止のショックは大きく、ファンコミュニティすら巻き込んだ事件はゲーム史に残る傷痕だったと思います。以前、その顛末を「ロックマンDASH3が開発中止に至るまで」という記事にまとめましたので、詳細はそちらを参照してください。

DASH3騒動の中でカプコンを退社し、株式会社comceptを立ち上げた元ロックマン開発メンバーたちは、2013年、ロックマンライクな2Dアクションゲーム「Mighty No. 9(マイティーナンバーナイン)」を立ち上げました。クラウドファンディングで約4億円の資金調達に成功したことで、当時かなり話題になりました。その後、2016年にMN9は発売されました(携帯機版を除く)。なんやかんや言う人はいますが、私はとても良いゲームだと思っています。

一方、ロックマンはというと、フィギュアなどのグッズは継続的に展開するものの、先述の通り、ゲームに関してはほぼ動きがありませんでした。

DASH3開発中止以降、今後のロックマンシリーズをどうしていきたいか、カプコン側から具体的に言及することはなかったと思います。しかし、ロックマンというコンテンツを扱うことが難しい状況であることを示す情報は存在しました。

2015年、韓国にてスマートフォンゲーム「ロックマンGoGo!」がリリースされました(現在サービス終了)。カプコンの下請けとして開発を担当したメンバーに対するインタビュー記事(※韓国語)にて、ロックマンを扱う難しさと、それに取り組む覚悟について触れられている部分があります。

扱いが難しくなったロックマンというコンテンツを、立て直す必要がありました。

復活

2015年(日本では2016年)、初代ロックマンシリーズをまとめて1作品で遊べるようにした移植作「ロックマン クラシックスコレクション」シリーズが展開されます。数年ぶりのリリースに対して「また移植か」というファンの反応もありましたが、どうやらここから風向きが変わってきたようです。

12月7日、「週刊ファミ通2017年12月21日号」が発売されました。

週刊ファミ通 2017年12月21日号

ロックマン30周年記念プロジェクトについて全6ページの特集記事が組まれ、最後には**「『ロックマン』が再始動するまで」という開発スタッフからのメッセージ**が掲載されました。

(2017/12/15追記)ロックマンユニティにて全文掲載されました→【特別掲載】完全版「『ロックマン』が再始動するまで」

そこに書かれていたのは、

  • グッズなどの展開が好調で、続編希望の声を上げ続けたファンの存在感があり、期待に応えるべきだと考えたこと。
  • ロックマンの新作企画を通すことが困難な状況であり、地道に課題をクリアする必要があったこと。
  • 期待に応えるとはどういうことか、今つくるべき新たなロックマンへの覚悟を決めたこと。

といったことでした。

新作発表のメッセージでこんなシリアスな内容を掲載するのはかなり異様だと思いますが、これまでのことがあるので、説明責任があると思ったのかも知れませんね。

元文章でないと温度感を伝えられないので、これは是非ともファミ通誌面で読んでほしい内容だと思います。が、私からはもう少し補足させていただきます。

具体的にDASH3の名を挙げ、あの開発中止から、市場的な意味でもロックマンの新しい展開が難しい状況にあったことが触れられています。ロックマン11に関わる江口さん・石原さんはDASH3のメンバーでもありました。そして、DASH3の失敗は、経営陣から承認を得られなかったことが大きいと考えられます。

そこからロックマンがきちんと再始動するために、経営陣を納得させられる企画を練ることになります。また、「ファンの期待に応える」ことを考えたとき、ロックマン9~10のようなFC風という変化球ではなく、正統進化を目指す事となりました。それなりのコストを支払わなければいけないのですが、クラシックスコレクションの好調が後押しとなり、本開発がスタートしました。DASH3の敗戦を踏まえて、新たな一歩を踏み出したと言っていいでしょう。

また、公開されたPVを観た感じ、私の主観ではありますが「Mighty No. 9」の影響もあるように感じられます。これも「ファンの期待に応える」ためには避けては通れない道なのでしょう。ファミ通のメッセージでは、土屋Pの座右の銘として**「期待に応えて、予想を裏切る」**という言葉で締めくくっています。その回答となるのがロックマン11というわけです。

「運命の歯車!!」というサブタイトルからも、なんとなく覚悟を感じ取れます。ロックマン11は非常に意味の重いタイトルであるといえるでしょう。

伏線回収

これは余談ですが、記録として残しておきたいと思いました。

2017年、「ロックマン クラシックスコレクション2」が発売されました。オフィシャルアートや設定画を多数収録したギャラリーの中に、見覚えのない設定画がありました。これが実はロックマン11で特殊武器使用時のロックマン変身デザインでした。

また、2018年発売予定の「ねんどろいど ロールちゃん」では、30周年記念として新規デザインが採用されました。これが実はロックマン11でのロールちゃんの新規デザインでした。

ロックマン11を発表するまでの小ネタを出していたんですね。まさかこれが伏線だっただなんて思ってもみませんでした。

9月24日、「東京ゲームショウ2017」カプコンブースにて、「『ロックマン』もうすぐ30周年!ステージ」が実施されました。

このとき、30周年記念グッズの発表が多数ありましたが、今後のゲーム展開について具体的に言及はありませんでした。ただし、最後に土屋Pが**「カプコンはロックマンを忘れたわけではない」**ということを強調し、30周年を期待して待つようファンに向けたメッセージを送りました。

そして、12月5日、ロックマン11の発表に至るわけです。確かにファンは大喜びでした。ここ数年でこんなことはありませんでした。うまくやりましたね。

今までロックマンでこういった形のプロデュースをしているのを見たことがないです。これは土屋Pのやり方なのかもしれませんね。期待しちゃいます。

そういえば、2016年12月5日に下記のプレスリリースがありました。

現在当社は、毎期の安定的な大型タイトルの投入に加え、一定期間新作が発売されていないシリーズ、いわゆる休眠IPの再活性化にも注力しています。5年ぶりのシリーズ新作となる『MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE』をはじめ、保有する豊富な有力コンテンツを活用し、企業価値の更なる向上に努めます。

この「休眠IPの再活性化」にロックマンが含まれるのだとしたら、とても良い傾向だと思います。

最後に

DASH3事件の顛末は、私がまとめた記事により、かなり知られることになったのではないかと思ってます。あの惨状から、「それでも前を向こうよ」と話を結んだつもりですが、やはり捉え方は人それぞれ。

現実逃避も良くないですが、あまりネガティブ過ぎても未来の妨げになると考えているため、カプコンをdisるためにあの記事を都合よく使われると残念に思っていました。

だからこそ、前に踏み出したのなら、そのことを私がきちんと書かないといけないなと思いました。きちんと応援しないといけないと思いました。あの記事を書いた責任みたいなものは感じてます。

ファンは待ち続けた。スタッフはそれに応えようとしている。楽しみじゃないか。私は今後もロックマンシリーズを応援していきますよ。頑張ってください。